弊社 安全性研究所(鹿児島)において、動物実験に従事する技術員がBウィルス(以下、BV)に感染したことが判明し、現在、加療中であります。詳細は、個人情報に関わるため控えさせて頂きます。BV感染場所はサル実験施設内と推定されます。
自然界にいるマカク属サルは、かなり高い比率でBVを保有しており、不顕性感染(感染はしているが、症状は出ない状態)がほとんどです。ヒトは、サルに咬まれるか、引っかかれるか、またはサルの生体試料などに直接触れない限り感染しません。今回のケースでも何らかの形でサル又はサルの生体材料との直接接触があったことが原因と考えられます。一方、通常、ヒトからヒトへは感染しないと言われており、一般の方々がBV感染をご心配する必要はありません。これまでに、ヒトへのBV感染の報告は、アメリカのサル実験施設において、過去に約50例が報告されております。近年、弊社ではカンボジアと中国において、BV陰性のサル繁殖に成功しており、現在、弊社が国内で飼育する殆どのサルがBV陰性です。BVが完全にウィルスフリーとなるまで、もう少しという段階にまで至っております。また、弊社のサル実験施設では、厳重な感染予防対策を講じており、PMDAのGLP調査、農林水産省の霊長類検疫調査、国際認証機関(AAALAC International)による認定を定期的に受けている他、動物の取扱に関しては、厳格な手順を定めて、これに従って実施しており、社員教育としても徹底した研修を継続的に行っております。今後、本件を踏まえて、手順を見直し、更なる厳重な管理体制を敷き、行政機関と連携をとり再発防止に全力を尽くして参ります。
弊社は、「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放すること」を使命として、企業理念の中核に掲げており、今後もこの使命を達成するために精進して行きたいと存じます。
なお、本件は業績に直接影響はしませんが、影響があった場合には速やかに開示します。
備考)
PMDAのGLP調査:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は、GLP省令に基づいて、医薬品などの安全性に関する非臨床試験を実施する試験施設に対してGLP適合状況について当該施設を訪問して調査し、その施設の評価を行うとともに、必要に応じ試験施設に対して指導及び助言を行います。
農林水産省の霊長類検疫調査:海外から輸入されるサルは、法令に従い、定められた係留施設で検疫を実施します。サルが輸入されるごとに農林水産省の検疫官が施設に訪問して、動物の異常の有無、動物検疫所からの指示事項や手順書の遵守状況、検査結果などを確認し、検疫が適正に実施されているかを調査します。
国際認証機関(AAALAC International)の認定:国際実験動物ケア評価認証協会(The Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International) は、任意の評価認証プログラムを通じて、科学における動物の人道的取扱いを推進している民間の非政府系団体で、施設の整備状況、動物の取扱い手順などを調査して施設に認証を出します。